峠のザク
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暮れ時、山の麓の茶屋。1人の旅の侍がやってくる。ばあさんは茶を出しながらたずねた。
もしやお侍様、これから山ぁ越えるおつもりで。
なにか?
夜の山越えは止めた方がええだ。あそこは、ザクが…ザクが出るだ。もう何人も死んどるだ。
悪いことはいわねぇだ。あんた死にに行くようなもんだ。
どうあっても今宵、行かねばならぬのだ。
そう言うと侍は峠へ向かっていった。
つづく
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